涙がこぼれた。

凍りのくじら (講談社ノベルス)

凍りのくじら (講談社ノベルス)

ロードムービー、冷たい校舎ときて次はこれの読み返し。
最初に読んだのは発売すぐくらいかなぁ。高校生だった。
正直ね、これあんまり好きじゃなかったんだよ。
理帆子はキャラクターとして凄く好きだったんだけど、ストーリーかなぁ。
最後の結末にいまいちピンとこなかったというか。
苦手じゃなくて、好きじゃない。
冷たい校舎とか子どもたち〜とかみたいに色んな人の視点がなかったのも原因かな。
だから全然読み返しもしてなくて、そのイメージがずっとあったのね。
それがなぜか今回読み返してて凄く面白くて。
あれ、なんであたしこれそんなに好きじゃなかったんだろう?って思って。
だってこれこんなに泣ける話だった?とか。
最後のほう、写真集についたお母さんのラブレターで泣いて、郁也を助けに行って、
お父さんがテキオー灯を浴びせてくれるあのくだりでもうぼろ泣き。
あんなに泣けたのいつぶりかなぁっていうくらい。
びっくりしちゃった。
これは最初に読んだときからなんだけど、
あたし理帆子の少し不在がすごく分かってね。
どこのグループにも顔を出せる。だけどどこにも居場所はきっとない。
冷めた視点を絶対どこかに持ってる、
あの屈折した物の見方にやたらと共感できるんだよね。
自分でもよくないって分かってるあたりとかも。
これって、あたしだけじゃないってわかるようになったから、
だからまた更に共感出来るのかな。
たまにドキっとするくらい同じような見方をしてる視点がある。
辻村さんは、こういうところが凄いなぁって思う。
どのキャラクターにも、どこかに自分が見える。